【半分ホント】「迷ったらワクワクする方へ」には罠がある【花火と焚き火】

「迷ったら、ワクワクする方へ」。 自己啓発の定番。きれいな言葉だし、半分は本当だと思う。
問題は、残りの半分。 ワクワクには2種類あって、片方は罠なんだよな。
ワクワクには「花火型」と「焚き火型」がある
俺の分類はこう。
花火型:新しさ・派手さ・「すごいと思われそう」から来る興奮。立ち上がりが速くて、デカい。 焚き火型:地味だけど、何時間でも見てられる。続けることが苦じゃない。静かで、長い。
どっちも本物のワクワクとして体感される。区別がつかない。 でも寿命がまるで違う。花火は数ヶ月で消える。焚き火は、燃料をくべれば何年でも燃える。
【罠】花火型ワクワクは、3ヶ月で消える
花火型の正体は、たいてい「新規性」と「他人の目」だ。
新しい環境、新しい肩書き、「それすごいね」と言われる快感。 これらは慣れた瞬間に消える仕様になってる。3ヶ月もすれば新しさは日常になり、称賛は空気になる。で、残るのは「あれ、こんなはずじゃ」という日々。
俺が前の科を選んだ時の高揚も、今思えば花火型だった。「内科の花形でカッコいい」「食いっぱぐれない」。打ち上がってる間は最高だった。消えた後の暗さも、セットだった。
問うべきは「平日の火曜日も、それをやりたいか」
じゃあ、どう見分けるか。俺が使ってる問いはこれ。
「その道の、いちばん地味な平日の火曜日を想像しろ。それでもやりたいか?」
開業した自分じゃなく、開業準備で銀行と交渉してる自分。 発信で有名になった自分じゃなく、誰にも読まれない記事を書き続けてる自分。 イベントの日じゃなく、なんでもない火曜日。人生の9割は、地味な火曜日でできてる。火曜日にワクワクが残ってるなら、それは焚き火型だ。
実例を2人、出す。 とある皮膚科の先生。もともと産婦人科志望だったのに、皮膚科を選んだ。今でも「grade Aのカイザー(超緊急の帝王切開)、見てみたいんだよね。たまに救急外来の一覧を見て、産科が来てないかパトロールしてる」と言う。 じゃあ、なんで産婦人科に行かなかったのか。返ってきた答えがこれ。「何回かやったら、飽きるかなと思って」。 自分のワクワクを花火だと見抜いて、長く続く方を取った人。
逆に、死ぬ直前までカテーテルを握っていた先生の話も、聞いたことがある。心臓に人生を捧げた先生。あの人のワクワクは、間違いなく焚き火だった。美しい話だと思う。ああいう人のおかげで、現代の医療は回ってる。
どっちが偉いって話じゃない。自分のそれが花火か焚き火か、見抜けてるかの話。
【結論】ワクワクは方位磁針。エンジンは別
結論。「迷ったらワクワクする方へ」は、方角としては正しい。エンジンとしては当てにするな。
ワクワクは方向を教えてくれる方位磁針。でも前に進む燃料は、火曜日を積み重ねられる「続けやすさ」の方だ。 方位磁針だけ握って燃料を積み忘れると、3ヶ月で止まる。
あなたが今ワクワクしてるそれ、花火? 焚き火? ——火曜日を、想像してみ?